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とちのきアートプロジェクト

2026年 プロジェクト紹介


©TUE.小嶋佑奈


とちのきアートプロジェクトに向けて

イギリスの作家オスカー・ワイルドは、「〈自然〉とはぼくらを産んでくれた大いなる母なのではなく、ぼくらが創ったものだ。それが生命を得て蘇るのは、ぼくらの脳の中でなのだ。ぼくらが見るからこそものがあるのであり、ぼくらの見えるものやその見方は、ぼくらに影響を与えてくれた『芸術』に負っているんだ」という言葉を残しています。「とちのき村」のような自然豊かな施設で中心に行われる野外教育では、自然は良いものと考え、子どもたちを自然に誘います。ワイルドの言葉を前提に考えれば、子どもたちも私たちが感じているように自然の価値を感じているのでしょうか。

私たちはワイルドのいう「芸術」にあたる何かを次世代を担う子どもたちに示す必要性を感じています。また、その何かは本物であるべきだとも考えています。また、ワイルドは、「誰も気づかなかったものにさえも、直感的に『意匠』を見出しその『美』を発見するのが、非凡な感受性に恵まれた芸術家なのである。」ともいっています。私たちは、その非凡な感受性をもったアーティストが創り出した作品との出会いが、子どもたちだけではなく、私たちの自然の見方に影響を与えてくれると考えています。

私たちが学びの舞台とする「とちのき村」の自然は本物です。だから、その自然と釣り合う何かは本物でなくてはなりません。アーティストを招いてアーティストと空間をつくる。そんな本物との出会いの場が必要だと考え、とちのきアートプロジェクトは始動しました。野外教育をはじめとする自然体験は、昨今のデジタルメディアを通じたバーチャルな体験からみれば、当然、リアルな体験といえますが、私たちの日常は豊かな自然から遠ざかり、リアルではありつつも非日常的なものとなっています。

一方、昨今の著しいデジタル技術の発展によってバーチャルな体験が日常的なものとなっています。私たちは、この交差点にデジタルメディアの存在があると考えています。本施設を訪れる中心層は子どもたちですが、現代の彼らはデジタルネイティブになりつつあります。そのため、デジタルメディアを通した自然での直接体験は彼らにはより身近に、より有効に働きかけるのではないかと考えています。前述のアーティストとの場づくりに加えて、デジタルメディアを通じたさまざまな表現の場づくりに力を注ぐことも、とちのきアートプロジェクトが始動した理由のひとつです。

とちのきアートプロジェクトを通じて、アーティストのみなさんに「とちのき村」に滞在していただき、その自然から受け取った何かを表現した作品やその思いを「とちのき村」を訪れる人々に受け取っていただく機会、そしてこれからのデジタルネイティブの時代における新たな自然体験の方法のひとつの提案となれば幸いです。

文責 : とちのきアートプロジェクトプロデューサー 甲斐知彦


「とちのきアートプロジェクト」活動概要

 

とちのきアートプロジェクトは、2024年度から本年度まで継続して実施しています。

2024年度には、親子を対象としたART&CREATIVE CAMPを実施し、木登り、自然観察、ARネイチャーラリー、シャワークライミング、夜の森の探索、野外炊事などと創作活動を組み合わせました。

また、アーティストにとちのき村に滞在していただき、実際にこの場所の森や沢、動物、人との関わりから作品を制作していただきました。完成した作品を持ち込むだけではなく、ここで過ごした時間から作品が生まれることを大切にしています。

自然学校で訪れた3校の子どもたちにアンケートを行ったところ、94人が、作品によって普段見る自然や景色が変わって見えたと答えています。「自然がいつもよりきれいに見えた」「作品によって想像が広がった」「自然と作品が溶け込んでいた」といった言葉もありました。

これは、子どもたちが作品だけを見ていたのではなく、作品を通して周りの自然を見直していたということだと思います。

2025年度には、宮本一行さんの「Virtual Soundwalk in mikata」などを通して、作品と実際の自然を体験する順序によって、自然の感じ方がどのように変化するかを調べました。作品を先に体験すると、実際の自然を詳しく見るための視点が生まれます。自然を先に体験すると、作品によって、その経験を振り返り、追体験することができます。

私たちは、デジタル作品を自然体験の代わりにしようとしているのではありません。デジタルと実際の自然を往復することで、体験をより深くすることを目指しています。

本年度は、このプロジェクトを通年の取り組みとして位置づけています。アーティストが滞在する期間や秋のイベントだけでなく、作品の常設展示、自然学校での活用、子どもたちの反応の記録、新しいプログラムの開発までつなげていきたいと考えています。

アートによって自然そのものが変わるわけではありません。変わるのは、自然を見る私たちの側です。見方が変われば、自然との関わり方も変わります。

とちのき村を、自然を体験するだけの場所ではなく、自然を見つめ直し、自分なりに感じ、表現し、他者の見方に出会える場所にしていきたいと考えています。  

文責:尼崎市立美方高原自然の家 所長 西垣幸造


 【活動目的】
とちのきアートプロジェクトは野外活動施設である尼崎市立美方高原自然の家「とちのき村」を舞台とするアートプロジェクトです。本プロジェクトは次の 3 つを目的として活動します。
・活動目的1.  アーティストのみなさんに「とちのき村」に滞在していただきながら、取り巻く独自の自然環境から受け取ったインスピレーションを、各々の志向性を通じてかたちづくっていただく機会をつくること。
・活動目的2.  アーティストのインスピレーションが反映された表現のもつ魅力を「とちのき村」を訪れる数多くの⻘少年たちに身体を通じて直接感じ、自らも表現を行う機会をつくること。
・活動目的3.  デジタル・メディアによる「とちのき村」におけるリアルな体験(=自然風景との接触)とバーチャルな体験(=日常景観との接触)とのオーバーラップを通じた感性の育みの機会をつくること。

【開催場所】
尼崎市立美方高原自然の家「とちのき村」

【開催期間】
 通年(冬季は積雪のためホール棟のみ展示)

【活動展開】
活動目的1を達成するために毎年の夏季を中心として、本プロジェクトのコンセプトに共感をしていただけるアーティストを受け入れるレジデンスとしての整備を行い、アートの創造が定期的に行われる機会を開きます。
活動目的2を達成するために、毎年の秋季にはレジデンスの成果を施設来場者に開くための場としてアートイベントを実施します。またアーティストの作品の常設展示を行うことも積極的に進め、滞在を伴わずにアーティストが「とちのき村」をイメージして制作するアトリエ・ワークの作品・表現の買い上げ・展示も行います。
活動目的3を達成するためにデジタルメディアを通じた体験の機会を与えることができる
スペース、メディア・クリエーション・スペース(仮称)を施設内に設置します。

「カタルバ~」 ZOOM 公開収録 2026 年9 月19 日(土)16:00~17:00
https://us06web.zoom.us/j/89505750127?pwd=kEEBUvpWAV60YBz8M109ch5M4i8MF5.1
ミーティングID: 895 0575 0127
パスコード: 706963

【とちのきアートプロジェクトチーム・メンバー】
プロデューサー : 甲斐知彦(関⻄学院大学人間福祉学部教授)
プロジェクトマネージャー : ⻄垣幸造(尼崎市立美方高原自然の家「とちのき村」所⻑)
ディレクター : 佐々木樹(詩人 / アーティスト / NPO 法人みなとメディアミュージアム
アーティスティック・ディレクター / 梅花女子大学文化表現学部特任講師)

【主催】尼崎市立美方高原自然の家とちのき村
【後援】尼崎市 尼崎市教育委員会 香美町 香美町教育委員会  (公社)日本キャンプ協会 兵庫県キャンプ協会


とちのきアートプロジェクト2026 マップ
とちのきアートプロジェクト2026 マップ

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